"毎月7000円を隠していた夫の20年の秘密" 第13話
清司さんがいつか、きな病気をされたり、しい義が必になったのために、佐々で切にお預かりしておくの」
昭雄は通帳を見つめ、静かに頷いた。
「……ああ。そうだな。そうしてくれ」
「それから、これ」
文子はの通帳の横に、い封筒を枚置いた。
表には、文子の跡で『積』とかれていた。
「これからはね、毎千円、ここに貯をします」
昭雄が顔をげた。
「……貯?」
「ええ。郎が就職して、美がを卒業したら、でへくのよ。毎、茶の季節になったら、井川鉄に乗って、清司さんのところへお茶を買いにくの。おを郵便で送りつけるんじゃなくて、あなたの元気な顔を見せにくのよ。清司さんが番見たいのは、あなたのおじゃない。あなたが笑って、幸せに暮らしている姿なんだから」
昭雄はい封筒を見つめた。
そして、節くれだったきな掌で、その封筒をおしそうに包み込んだ。
「……文子」
「何ですか?」
「苦労をかけたな。……ありがとう」
で、初めて夫のから零れた、からの謝の言葉だった。
文子は胸の奥がくなるのをじながら、首を横に振った。
「いいえ。私、佐々昭雄の妻で、本当によかったわ」
計の針が、分を指した。
昭雄はちがり、鴨居から濃紺の作業着をろした。油の匂いの染みついた、いつもの仕事着。
だが、その背に袖を通す夫の姿は、昨までのように字架を背負った男のそれではなく、誇りきの職のち姿だった。
玄関ので、昭雄が作業靴を履く。
文子は駄箱のから、入れされた布製の作業を渡した。
「ってらっしゃい、お父さん。怪のないようにね」
「ああ。ってくる」
昭雄は振り返り、文子の目をまっすぐに見つめて力く頷いた。
引き戸がくと、初のまばゆい朝のが玄関いっぱいに差し込んできた。
へ踏みしていく昭雄の取りは、力く、どこまでも軽やかだった。くで、精の始業を告げるサイレンの音が、澄み渡った青空へ向かってらかに響き渡っていた。
文子は胸元でをわせ、その背が見えなくなるまで、温かいので見送り続けた。