"毎月7000円を隠していた夫の20年の秘密" 第9話
俺はおを助けたくて突きばしたんだ。おのせいじゃない』と。何度も、何回も言った」
だが、その言葉は、逆に昭雄のをく切り裂いた。
許されれば許されるほど、優しくされればされるほど、昭雄の魂は逃げを失っていったのだ。自分がき残ったことそのものが、友に対する耐えがたい裏切りにえたに違いなかった。
昭28の先、清司はこれ以の京での治療を諦め、母の子とともに故郷のへ引き揚げることを決めた。
品川駅の線ホーム。客のデッキに松葉杖でつ清司のに、昭雄が駆けつけてきた。
そのには、精への就職が決まったばかりの昭雄が、借りで面した茶い袋が握られていた。
「『毎送る』と、あいつは言いました」
子が、震える声でそのの記憶を繰り寄せた。
「『精で骨を埋める。俺の料のから、毎必ず、清司の薬代と活のしを送る。俺がきている限り、どんなことがあっても毎千円を送る。頼むから、受け取ってくれ』と。ホームの敷のに座をして、汽がきすまでをげませんでした」
へ戻った清司と子は、最初のに届いた現留を、すぐに送り返した。
『おもこれから自分の活を作らなければならない。もう京のことは忘れて、自分のためにきろ』とを添えて。
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しかし、送り返された為替は、には再びの駄菓子へい戻ってきた。封筒のには、とも呼べないような、震える鉛の文字がかれた切れが枚だけ入っていた。
『受け取ってくれなければ、俺はきていることができない。俺に並みの飯をわせないでくれ』
清司は湯呑みを見つめ、苦く笑った。
「千円はね、奥さん。俺への仕送りじゃなかったんだ。あいつが、毎をき延びるために自分自に課した『罰』だったんだよ。そのを俺に送っているだけ、あいつは自分がきていることを許されていたんだ」
文子の目から、止め処なく涙が溢れた。
膝のの受領証の束が、滲んで歪んで見えた。
。
毎25、鷹の郵便局の窓に並び、千円を払い込み続けていた夫の姿。
あの寡黙で、頑ななまでに自分を律し、族ので決して音を吐かなかった男が、で抱え込み続けてきた獄の淵が、今ようやく文子のにをけていた。
「奥さん、これを見てください」
清司は松葉杖をついてちがり、奥の作業机の引きしから、分い冊の通帳を取りしてきた。表には『郵便局 定額貯』と印字されている。
清司はその通帳を、文子ののちゃぶ台のに置いた。
かれたページには、細かく列した数字が並んでいた。
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昭28から、昭30代、40代。
毎、武蔵野郵便局から送されてきた千円が、ほぼそのまま、郵便局の貯座へと積みてられていた。
「……これは?」
文子が掠れた声で尋ねると、清司は静かに首を振った。
「使えなかったんですよ。最初の数は、病院の薬代や義の作り替えで、どうしても背に腹は代えられず、しだけ使わせてもらいました。だが、俺も男です。いつまでも友の贖罪のにぶらがってきていくわけにはいかなかった」
清司は自分の節くれだった指先を文子に見せた。指先には、さな傷が無数に刻まれ、拡鏡の枠に当たる目の周囲には丸いタコができていた。
「に戻ってから、親戚の計に弟子入りして、計の修理技術を必で叩き込みました。目も見えなくなるほど細かい歯を相にして、のにはこので自分の板を掲げられるようになった。今はね、所の農や茶の旦衆が、形見の懐計や腕計を全部俺のところに持ち込んでくれる。母と、飯をってをしのぐくらいの稼ぎは、とっくに自分の腕本で稼げるようになっていたんです」
清司は通帳を指先で叩いた。
「昭雄には、何度もをきました。『もう自した。分にえている。だからを送るのをやめてくれ』と。
結婚したというらせを聞いたも、子どもが産まれたと聞いたも、俺はこの通帳の写真を同封して、『おの族のために使え』とを送った。