"300億円の恩返し" 第10話
「周会。……そして克彦常務」 成沢専務は、徹なつきで胸ポケットから枚の赤い公文を提示した。
「資調達など、もう必ありません。……融庁監督局、ならびに証券取引等監委員会による【緊急特別ち入り検査】が、今、始されました」
「き……融庁……!?」 克彦常務の腰が抜け、そのにヘたり込んだ。
成沢専務のろから歩みてきたのは、融庁特別検査官の肩きを持つ、鋭い目つきの男だった。 「亜央代表取締役会・園部周氏、ならびに常務取締役・園部克彦氏。法第条に基づき、当のガバナンス体制、預取引における背任疑惑、ならびに系列ノンバンクを通じた正融資事案に関する全面ち入り検査を実施します」
数名の検査官が、本ビル内の役員、審査部、総企画部へと崩れ込んでいった。 キャビネットの鍵は次々とけられ、パソコンのハードディスクの複製データが押収されていく。
「な、何の権限があってこんな真似を! うちは代続く名だぞ!」 周会がちがり、机を叩いて威嚇しようとした。 しかし、検査官は眉つかさず、枚の内部告発資料の写しを机に叩きつけた。
「名? 笑わせないでいただきたい」 検査官のペン先が、資料の項目を激しく突いた。
「過期にわたり、ミレイビューティーグループという百億円規模の超優良取引先に対し、正当な理由なく本部主幹部への昇格を拒否し、支預に留め置いて当に遇し続けた事実。
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……その理由が、創業による私怨と、との癒着であったことが内部通報により発覚しました」
「な……内、部……通報……!?」 周会が愕然として成沢専務を見つめた。
成沢専務は、微だにせずややかな線を返した。 「私が告発しました。周会。……はおの私物ではない。預者の信頼と、真面目に汗流す員たちの活を守るための公器だ。おたちの腐りきった世襲支配を終わらせるために、私は過分の握り潰された稟議のコピーを、すべて融庁へ提した」
さらに検査官が追及をねる。 「それだけではありません。神……いえ、名建材に対する当な事介入。克彦常務、あなたが取引先の役員へ話をかけ、『柏琢磨を退職させなければ今の融資を引き揚げる』と脅迫した事実。これはな優越位の濫用であり、私独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)違反、ならびに罪に該当します」
「ひっ……! あ、あれは……親戚としての冗談で……!」 克彦常務が泡を吹いて弁解しようとする。
「冗談での信用枠をチラつかせるを、は役員とは認めません」 検査官は酷に言い渡した。
「本をもって、園部周会、ならびに園部克彦常務に対し、融庁より【業務改善命令】の哨措置として、職務執止の勧告をいます。
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直ちに会から退しなさい」
「わ、私のだぞ……! 私のだぞおおおっ!!」 喚き散らす過ぎの老と、をい回って泣きじゃくる男。 は検査官と守のによって両脇を抱えられ、数百の般預者が号をげる本の正面玄関から、裏へと引きずりされていった。
創業代の威など、国の法との鉄槌のには、筋の煙のように脆く消えったのだ。
午。亜央本講堂。 全役員、ならびに全国の支たちが緊急招集され、臨取締役会が催されていた。
議席に座ったのは、融庁の支持と社取締役全員の満致の推薦を受けた、成沢国男だった。
「――ただいまの決議をもって、代表取締役会・園部周、ならびに常務取締役・園部克彦の【全役員解任案】が決されました」
会を埋め尽くした数百名の員たちから、歓声とも堵ともつかない、巨などよめきが沸き起こった。 成沢は起し、全員に向けて々とをげた。
「員の皆さん。……にわたり、創業族の理尽な専横と、縁故主義の犠牲となり、過酷なノルマに耐え忍んでくれたことに、経営陣を代表してくお詫び申しげます」
成沢取は顔をげ、マイクを力く握り締めた。