"正月、娘に熱汁を浴びせた義兄へ110番" 第10話
カチャリ、と錠のたい属音が取調に響いた。 内の甘やかしので王様のように振るってきた男の虚構が、客観事実という絶対な壁のに、々に砕け散った瞬だった。
、御用始めの朝。 精密器メーカーの事部エリートフロアに、健太はい取りで社した。 目のには真っ黒な隈が張り付き、ネクタイは歪んでいた。
(丈夫だ……警察汰になったのは兄貴であって、俺じゃない。美奈がどれだけ騒ごうと、社内では『妻がヒステリーを起こしてした』と説すれば、の課昇には響しないはずだ……)
健太が自席に座り、パソコンをちげようとしたその瞬だった。 「神主任。今すぐ、事部へ来てください」 背にっていたのは、事課だった。そのは、いつもの親しげなを完全に失い、氷のようにえ切っていた。
部の扉をけた瞬、健太の臓がねがった。 部のにいたのは事部だけではなかった。顧問弁護士、そしてコンプライアンス委員会の委員が、い表で並んでいた。 机の央には、法律事務所から会社宛てに届いた『コンプライアンス通報』と、輪警察署からの照会文の写しが置かれていた。
「神君。君の義兄が、歳の姪に対するな傷害罪で逮捕勾留された件は、事実かね」
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事部のい声が響く。
「は、はい……しかしそれは兄の個な問題でして! 俺は現で止めようとしましたし、何の関係も――」 「嘘をつくな」 コンプライアンス委員が、警察の事聴取報告の約を机に叩きつけた。
「君は事件直、犯の決定証拠となる防犯カメラの源コードを引き抜き、証拠隠滅を図ろうとしたそうだな。警察の調にも、その事実がはっきりと記載されている」 「そ、それは……族を守ろうと気が転して……!」
「さらに、被害者である実の娘の治療を放置し、被害届を取りげるよう、妻に対して精神な脅迫メッセージを連続して送信した。……これらが何をするか、分からないかね?」
事部が淡に鏡をした。 「が社は、国連の児童権利条約を支持し、CSR(企業の社会責任)を最している。役職候補の社員が、実子への虐待事件の隠蔽に関与し、警察の捜査対象になっているなど、到底容認できるものではない」
「部! 頼みます! の昇試験のために、俺はもを啜ってきたんです! 課になれなきゃ、俺のは――」 「本付で、君の課昇の内定を取り消す」
無慈な宣告がされた。 「営業第線の主任職を解き、総務部付の資材倉庫管理係への異を命じる。事実の無役格だ。……今、警察や検察の処分次第では、懲戒免職も野に入れて調査を継続する。
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以だ。デスクを片付けたまえ」
部を追いされた健太は、オフィスフロアの廊にへたり込んだ。 通り過ぎる同僚たちの、嘲笑と軽蔑に満ちた線。 昨まで自分に媚びを売っていた輩が、目をわせることなくにっていく。
守ろうとした実のメンツ。 見捨てた娘の命。 その引き換えに得たものは、消えない汚名と、完全に閉ざされた世のだった。
同じ頃、神の本には、正気分など微も残っていなかった。 親族数名が集められた座敷には、苦しい沈黙と、互いを睨みう険悪な空気が満ちていた。
「どうするんだよ、清(きよし)叔父さん!」 を切ったのは、親族の老格の従兄弟だった。 「幸夫が傷害で逮捕されたって話、もう所にれ渡ってるぞ! 今朝の方の面記事にも『親族の女児に湯をかけ傷を負わせた疑い』って、デカデカと載っちまったじゃないか! 神のの恥だぞ!」
「そうよ!」別の叔母が甲い声をげる。「うちの息子、今就職活なのよ!? 親戚に凶悪犯がいるなんて企業にられたら、内定取り消されちゃうわ! どう落としをつけてくれるの!」
幸子は畳に突っ伏し、髪を振り乱して泣き喚いていた。 「全部あの嫁が悪いのよ……! 美奈さんが警察なんて呼ぶから! 内で穏便に済ませておけば、誰もらずに済んだのに!」
「まだそんな寝言を言っているのか!!」