"時給951円と捨てられた妻の正体" 第4話
「……は? ちょ、懲罰委員会……?」 透の顔から、瞬にして余裕の笑みが消え失せた。
「な、何かの違いでしょう!? 俺が会社にどれだけ貢献しているかごですよね!? 今期の営業第課の成績だって、俺のリーダーシップがあってこそ――」
「その営業成績のデータ改ざん、ならびに部へのパワハラ事案。さらに、先発した顧客・マテリアル社との契約破談における経費の私流用について、監査部より報告ががっております」
法務担当役員が、氷のようにたい線で透を射抜いた。
「マテリアルとの商談当、君は『急病』と偽って欠勤し、会社のコーポレートカードを使って伊豆の級旅館に宿泊していましたね。同伴者の女性の元も含め、調査はすべて完しています」
「なっ……!?」
透の喉から、ヒュッと息が漏れた。 なぜバレているのか。彩との旅は、完璧に領収の宛名を誤魔化し、社内イントラネットのスケジュールもダミーの営業先で埋めてあったはずだ。
「じ、冗談じゃない! 俺を誰だとってるんだ! 俺を切ったら、親父が……会が黙っていませんよ!?」
透は最の切り札である「創業者族の血筋」を振りかざした。 これまで社内でどれほど横暴を働いても、最終に役員たちが自分を庇ってきたのは、名誉会である父・修造のがあったからだ。
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しかし、事部のから返ってきたのは、透のこれまでの世界観を根底から砕する言だった。
「園田名誉会より、今朝番で直の通告が届いております。『正を働いた社員には、親族であっても切の慈をかけるな。直ちに断罪せよ』とのことです」
「お、親父が……!?」
「です。分の遅刻も認められません」
役員たちが踵を返してっていく。 フロアに残された同僚や部たちの線が、斉に透へと突き刺さった。 先ほどまで媚びへつらっていた佐藤も、淡な、あるいはのみをらすような侮蔑の差しで透を見つめていた。
透の額から、タラリとたい汗が流れ落ちた。
午分。 本社最階の会議のな扉をけた瞬、透はあまりの威圧にがすくんだ。
円卓の奥に座っていたのは、黒田代表取締役社をはじめとする、全取締役および常勤監査役、計名。 全員が黒いスーツにを包み、元には分い調査報告が積みげられていた。
「座りなさい、園田君」 黒田社の静かな声が、シンと静まり返った内にく響いた。
透は震える膝を押さえながら、パイプ子に腰をろした。
「社……これは何かの謀です! 俺を妬んだ誰かが、嘘の報を吹き込んだに違いありません! 俺は会社のために昼夜を問わずをにして――」
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「園田君」 黒田社は鏡をし、枚の領収のコピーを指先で弾いた。
「伊豆の級呂付き客、泊万円。利用は先。……この、君がすっぽかしたマテリアル社の会は、君を信じて京本社の会議でも待たされた末、激してが社との全取引を止すると通告してきた」
「そ、それは……急な腹痛で識が朦朧としておりまして……!」
「その『識の朦朧とした状態』で、君は同伴していた佐伯彩という女性に、会社の経費で万円のカルティエのブレスレットを買い与えていたのかね?」
カチャリ、と写真が机のに滑りされた。 宝飾の防犯カメラの映像、そして旅館のエントランスで彩の腰を抱き寄せて満面の笑みを浮かべる透の姿が、鮮に印刷されていた。
「ひっ……!」
「さらに」監査役がややかに追及をねる。「過にわたり、君が計した交際費および張旅費のうち、私使用が確認された総額は【千百万円】に達している。これは背任、ならびに業務横領罪に該当する刑事事件だ」
千百万円。 その数字を聞いた瞬、透の界がぐにゃりと歪んだ。 収千万円と豪語していた透の活準は、その半が「会社の経費の正横領」によって駄を履かされていたに過ぎなかったのだ。
「社……頼みます! 返します! なら次のボーナスで全額返しますから! 解雇だけは……懲戒解雇だけは勘弁してください! 俺のキャリアが、俺のが終わってしまう!」