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"「もう戻るな」と言った息子へ" 第6話

の午の葉を揺らす央公園のベンチに腰掛け、私は周囲を警戒しながら待っていた。 約束のを数分過ぎた頃、コートの襟をてた女性が、りでこちらへづいてきた。その顔を見て、私は息を呑んだ。 耶の学代からの親友であり、結婚式でも友代表を務めていた朝美(あさみ)さんだった。

朝美さんは周囲を何度も見回し、誰も追ってきていないことを確認すると、私の隣へと滑り込むように腰をろした。

「良子さん……お久しぶりです」

「朝美さん……あのは、あなたが?」

朝美さんはいため息をつき、その顔には隠しようのない苦悩と罪悪が滲んでいた。

「良子さん、私……もうこれ以、黙っていることができませんでした。耶たちがやっていることは、として完全に違っています」

私の臓が激しく脈打った。

耶さんが……体何をしているというの?」

「実は、耶のお母様のえみ子さんが良子さんの悪を広めているのは、すべて最初から計画されていたことなんです」

「計画……?」

朝美さんは震えるでバッグからスマートフォンを取りした。

「これを聞いてください。先週、耶の実った耶とえみ子さんが話しているのを、どうしても許せなくて咄嗟に録音したんです」

朝美さんが画面を操作すると、スピーカーから聞き覚えのある、あの耶のややかな声がはっきりと再された。

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『――お母さん、町内会でもっと袈裟に言ってよ。「良子さんが私を毎台所でいびって、泣かされている」ってさ』 『分かってるわよ。でも耶、本当にこんな引なことして丈夫なの?』 『丈夫よ! これであの古いも、完全に私たちのものになるんだから!』 『でも良子さん、実際には何も悪いことしてないんでしょう?』 『だから何よ? あの邪魔なババアがいなくなれば、志の料も遺産も自由に使えるし、いずれあの実を売っ払って、しいマンションを買えるのよ!』

録音はそこで途切れた。 私は全の血が凍りつき、言葉を失った。 あの涙も、怯えたような態度も、すべては私のと財産を奪い取るために周到に仕組まれた、卑劣極まりない演技だったのだ。

「……信じられない……」

震える声で呟く私のを、朝美さんが両で力く握りしめてくれた。

「良子さん、これだけじゃないんです。もうつ聞いてください」

朝美さんは別の音声ファイルを再した。今度は、えみ子の甲い声が響き渡る。

『――田さん、実はね、良子さんがうちの耶を毎酷くいびっているのよ。事にもをつけさせず、毎ばかり言われて、耶はノイローゼ寸なの。表向きは品ぶっているけれど、裏では本当に恐ろしい姑なのよ』

私の目から、悔しさとりの涙がこぼれ落ちた。

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これが、私を町内から追いし、の名誉をに突き落とした噂の正体だったのだ。

「朝美さん……どうして、危険を冒してまで私にこれを?」

「私、耶の言がずっとおかしいとっていたんです。良子さんの悪を言う耶の目が、嘘をついているの目そのものだったから……。それに、私も義理の母と同居していますけれど、良子さんのような優しくて気品のあるお母さんだったら、どんなに幸せだろうとずっと羨ましくっていたんです」

朝美さんの真あふれる言葉に、胸の奥から謝が込みげてきた。 その、朝美さんのスマートフォンがけたたましく鳴り響いた。画面には【耶】の文字が表示されている。 朝美さんの顔がサッと青ざめた。

耶からだわ……」

なくていいわよ、朝美さん」

私が制止しようとしたが、朝美さんは毅然と首を横に振った。

「いえ、ます。良子さん、レコーダーの録音を始してください!」

私は慌ててバッグからICレコーダーを取りし、録音ボタンを押した。 朝美さんが通話をスピーカーフォンに切り替えて応答する。

「もしもし、耶?」

『あ、朝美? 今どこにいるのよ?』

受話器の向こうから聞こえる耶の声は、酷く苛っていた。

『ちょっと買い物よ。どうしたの?』

『あんた、お母さんのこと、誰かに余計なこと話してないでしょうね?』

『え? どういうこと?』

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