"不在着信93件の朝" 第8話
弁護士は類をに取り、契約条項を丹に指で追っていった。数分の静寂の、弁護士は鏡のブリッジを押しげ、確信に満ちた表で顔をげた。
「岡崎さん、契約を精査いたしました。結論から申しげますと、
法に完全に保証契約の解除および支払止が能
です」
正がを乗りす。
「本当ですか? 融関側が拒否することはないのでしょうか?」
「この契約をご覧ください。第条第項に『保証のな事変更、ならびに活維持困難を理由とする特約条項』が記されています。ご夫妻の収入計万円に対し、返済額万円は総収入のパーセントを超えており、公序良俗の観点からも、活維持義務の破綻がです。また、の事面予告をうことで、融関はこれを拒絶できません」
「私たちが支払いを止した際、私たち側に何らかの損害賠償や法ペナルティは発しますか?」
「切発しません。ただし――」弁護士は言葉を区切り、鋭い差しを向けた。
「当然ながら、主債務者である息子様ご夫婦に、残債の全額返済義務がそのまま移します。毎万円の請求は、翌以すべて息子様ご夫婦の座へ直接請求されます。もし引き落としができなければ、括返済請求、そして最終には抵当権が使され、ご自宅は競売にかけられます」
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みつ子は微も揺することなく、静かに、そしてややかに微笑んだ。
「望むところです。彼らが自らの収入に見わない豪邸を欲しがり、親を侮辱した結果です。すべて彼ら自で責任を取るべきです」
「承いたしました。では、当職の名義にて、融関および保証会社に対し、確定付付きの内容証郵便で『連帯保証契約解除通』ならびに『座振替止届』を正式に送付いたします」
法律事務所をたは、そのままメインバンクのプライベートブースへと向かった。
窓の資産運用担当者が、端末の画面を確認しながら丁寧にお辞儀をした。
「岡崎様、座の状況を確認いたしました。定期預残百万円、普通預百万円、計千百万円でございます。来をもって宅ローンの自引き落としを完全に解約処理いたします。これで、万円は満額ご夫妻の活座に残ることになります」
「ありがとうございます。それから、息子夫婦名義の座へのアクセス権や、関連する委任状もすべて無効化してください」
「かしこまりました。ただちにセキュリティロックをかけます」
をると、たかったのが、議と肌によくじられた。
は何ぶりかいせないほど久しぶりに、老舗の喫茶へとを運んだ。
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サイフォンで淹れられた芳醇なモカのりが腔をくすぐる。正はカレンダーの帳を広げ、穏やかな表でペンをらせた。
「みつ子、続きのスケジュールを理しよう」
本():
弁護士よりおよび保証会社へ内容証を発送。
():
連帯保証契約解除ならびに支払座止の法効力発。
(引き落とし能):
融関から主債務者(志・里)へ督促の第報。
(通到達):
自宅に「支払止通および括請求予告」が内容証で着弾。
「私たちがをるのは、の朝だな」
「ええ。までにしずつ荷物をトランクにまとめて、あの子たちには言も言わずに旅ちましょう。き先は……そうね、箱根の奥湯本にある静かな温泉旅館がいいわ」
「いいな。泊と言わず、そのまま伊豆までを伸ばして週ほどのんびりしよう。誰も俺たちの居所をらない所で」
完璧なシナリオだった。
息子夫婦は、親が来のローンも黙って振り込むものと信じ切っている。自分たちが放った「くやめてみろ」という言葉が、どれほどの破滅の引きになったかもれずに。
みつ子と正は珈琲のカップをわせ、静かに、そして確実に訪れる審判のを待った。
、運命の曜の朝。
の空にの朝焼けが広がる午、みつ子と正は音をてずに支度をえた。
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