みかん小説
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"不在着信93件の朝" 第3話

に買った毛玉だらけの古いセーターを着回し、症で倒れる寸までエアコンをつけるのをした。設定温度を度に保ち、団扇でを送りながら汗を拭った。は底えする畳の部で何枚もね着をし、の設定温度を極限までく抑え、袋をして過ごす々が続いた。

そんなを削るような活ので、夫の正は決して満をにせず、いつも穏やかな差しでみつ子の肩にを置いてくれた。

「みつ子、本当にすまないな。俺の稼ぎがもっとければ、こんな苦労をさせずに済んだのに。だが、すべては志の将来のためだ。若いが苦労せず盤を固められるなら、親として本望じゃないか。で力をわせて、もうしだけ頑張ろう」

の優しさに触れるたび、みつ子もまた、やつれかけた頬に懸命に微笑みを浮かべて答えていた。

「いいえ、正さん。志たちがしいで笑顔で暮らしてくれているなら、私たちはそれで分よ。親の役目ですものね」

たい茶を啜りながら、お互いを励ましい、息子夫婦の幸福の礎となるためだけに、暗くたい節約活を耐え忍んでいた。

だが、みつ子たちが命を削って捧げた献は、息子夫婦の謝を育てるのではなく、醜悪な傲さを肥化させるだけの猛毒となった。

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ローンの支払いを肩代わりし始めてからが経過した、初のことである。

みつ子と正は、役所へ類を提した帰り、様子伺いと庭の入れを伝うつもりで、息子夫婦の居を訪ねた。事に連絡を入れようとしたが、何度話しても志がなかったため、直接ち寄ることにしたのだ。

閑静なに佇む、を基調としたモダンな邸宅。インターホンを押し、解錠された玄関ドアの先に見えた景に、みつ子はわず息を呑んだ。

界にび込んできたのは、自分たちの質素極まりない活とは完全に断絶された、まるで級ホテルのスイートルームのような豪奢な空だった。

玄関には見たこともない調のタイルが敷き詰められ、リビングの壁面には当発売されたばかりの最インチELテレビが鎮座していた。央には、から取り寄せたという百万円を超える本革張りのコーナーソファ。井のスリットからは、洗練されたデザイナーズ接照が温かなり注いでいる。

そこへリビングの奥から現れた里は、肩にフランスの名ハイブランドの作バッグをかけ、元と首にはきらびやかなダイヤモンドと舶来の級腕計をらせていた。どこかへかける支度をえていたようだった。

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みつ子と正の姿を認めると、里は歓迎の笑顔を見せるどころか、骨に眉をひそめ、を隠そうともせずに吐き捨てた。

「お母さん、何ですか急に? 私、これから座で友達とランチの約束があるんですけど。アポなしで来られると本当に迷惑なんですけど」

玄関のがり框にったまま、みつ子はの洗濯で裾が擦り切れた自分ののカーディガンを咄嗟にで隠しながら、消え入りそうな声で返した。

「ごめんなさいね、里さん。くまで来たから、元気にしてるかとって……。お庭のむしりでも伝おうかとったのよ」

むしり? 業者に頼んでますから結構です。そんなみすぼらしい格好で庭をうろつかれたら、ご所さんに何てわれるか分からないじゃないですか。じゃあ、鍵閉めて帰ってくださいね」

里はみつ子の言葉を酷に遮ると、の甘いりを玄関に残し、カツカツとヒールを鳴らしてってしまった。

万円という、老夫婦の命そのものを削ったを貢がせている義両親に対する謝や敬は、その態度から完全に消滅していた。

「……そう。忙しいなら、邪魔をして悪かったわね」

みつ子は虚空に向かって呟いた。横につ正の顔を見ると、その唇は悔しさに刻みに震え、瞳には隠しようのないが滲んでいた。

褪せて毛玉の浮いた自分たちのと、最のブランド品で全を着飾った里の煌びやかな姿。

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