"父の葬儀の日_夫は愛人を車に乗せて去った" 第6話
第9章 が先に逃げた
翌週。
浩司から何度も話が来た。
由美はすべてた。
でも、遺産の話には答えなかった。
「の査定だけでもさせろ」
「まだしない」
「会社潰れるぞ」
「それは会社の問題でしょう」
「俺の会社は族の活そのものだろ!」
「私は会社から料をもらってない」
「屁理屈言うなよ」
浩司の声はにに荒くなった。
その方で。
会社では美穗がいていた。
田から連絡が入り、由美は初めてった。
美穗が管理していた座から、複数の送申請がされている。
会社の顧問税理士が審にい、処理を止めた。
額は計480万円。
名目は取引先への仮払。
しかし送先の1つは、美穗本と関係のある会社だった。
浩司から由美へ話が来たのは、そのの夜だった。
「美穗が連絡つかない」
声が変わっていた。
「そう」
「会社の、触ってるかもしれない」
由美は黙った。
「お、美穗と何話した?」
「し」
「何言ったんだよ!」
「私は何もしてない」
「おが余計なこと言ったからだろ!」
また。
誰かのせい。
翌。
美穗から会社へ退職届がメールで届いた。
浩司には、『私は指示された通り処理しただけです。今は弁護士を通してください』といういメッセージだけ。
浩司が、「俺には美穗がいる」と信じていた女は。
会社のが止まった瞬。
最初にれた。
第10章 美穗に約束していた未来
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美穗が会社かられる直。
浩司は父のへ来た。
顔が悪かった。
「お、美穗にマンションのこと言っただろ」
由美はお茶もさなかった。
「ってたら困ることだった?」
「そういう問題じゃない」
「じゃあ、どういう問題?」
浩司はしばらく黙った。
由美は机のに1枚のを置いた。
美穗が内覧していたマンションの資料。
築2LDK。
価格5680万円。
駅から徒歩5分。
申込予定者の欄には、美穗の名。
備考欄には、
『資計画について社と再相談』
とあった。
「この社って、あなた?」
浩司は答えなかった。
「私と婚した、美穗さんとむつもりだった?」
「まだ決めてない」
「まだ?」
由美はその1語を聞き逃さなかった。
浩司は苛った。
「もういいだろ。美穗とは終わったんだから」
「いつからだったの?」
「何が」
「関係」
浩司は目をそらした。
由美は急かさなかった。
やがて。
「1くらい」
と答えた。
1。
父が寝たきりになった頃。
由美はほぼ毎、父のへ通っていた。
朝7にをる。
父の朝。
薬。
訪問護。
洗濯。
昼。
通院。
夕方、自宅へ戻って浩司の事を作る。
疲れてソファで眠ってしまった夜もあった。
浩司はそんな由美へ、
「最、の暗いよな」
「お、親父さんのことばっかりだな」
と言った。
由美は申し訳ないとった。
妻として夫を放っている。
そうって。
浩司の誕には、父をショートステイへ預けて2で事にった。
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その頃には。
もう美穗がいた。
「私が父の介護でを空けてたから?」
由美が聞く。
浩司はすぐに否定しなかった。
「正直」
しを置いて。
「に帰っても、おは親父さんの話ばっかりだった」
由美は黙った。
「俺だって会社きつかったんだよ」
「美穗は会社のこと分かってくれた」
「それで?」
「それでって」
「父がんだら、このを売る」
「会社におを入れる」
「私とは婚する」
「美穗さんとマンションを買う」
「そこまで話してたの?」
浩司の顔が変わった。
由美は答えをった。
「美穗さんに何て言ってた?」
「……」
「私とはもう終わってるって?」
「由美」
「父がくなれば、私がを相続する。そのおで会社が助かるって?」
「全部予定通りにいけば、誰も困らなかったんだよ!」
浩司が突然声をげた。
由美は息を止めた。
予定通り。
父がぬ。
由美が相続する。
を売る。
会社へを入れる。
由美と婚する。
美穗としい活を始める。
浩司のでは。
全部。
1本の予定だった。
「誰も困らなかった?」
由美が聞いた。
浩司は言い返そうとして。
止まった。
「私は?」
「……」
「父は?」
「……」
「私が20暮らした婚姻は?」
浩司は何も答えない。
由美はその。
浮気そのものより。
もっと嫌なものを見た気がした。
浩司は。
美穗を選んだから由美を捨てようとしたのではない。
由美の父が残すまで使って。
自分の失敗を片づけ。
そので妻を捨てようとしていた。
妻。
岳父。
会社。
。
ではない。
全部。
自分のを維持するための部品だった。
「浩司」
「何だよ」
「美穗さんがあなたを裏切ったんじゃないとう」
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