"車が狭いからと言われた妻" 第13話
「さん、この本、表が剥がれかけてるからお願いできますか」
同僚から本を渡される。
「はい。直しておきますね」
自分の旧姓を呼ばれる。
そのたび。
しだけ。
嬉しい。
昼休みには所のパンでサンドイッチを買い、図館の裏庭にあるベンチでべることもある。誰かがべ終わるのを待ってからたい残り物をへ入れる必はないし、「分だけ温めるなんてもったいない」と言われることもない。
当たりのことだった。
けれど私は。
当たりを。
15。
忘れていた。
ある休、駅で買い物をしていると、くに子らしい女性を見かけたことがあった。
以よりさく見えた。
背が丸まり。
スーパーの袋を。
片に。
歩いていた。
声をかけようとはわなかった。
避けるためにを変えることもしなかった。
ただ。
混みのへ。
消えていく。
の。
齢女性を。
見送った。
以の私なら、「丈夫かしら」と配したかもしれない。
今は。
自分の活を。
自分で。
引き受ける。
それは。
子にも。
必なことだと。
えた。
マンションへ戻ると、棚のに父の剪定鋏が置いてある。
あの、ゴミ袋の底から拾った古い鋏。
錆を落とし。
しだけ。
入れした。
ベランダには、さな盆栽を鉢だけ置いている。
価なものではない。
休の朝。
をやる。
枝を。
しえる。
父のように。
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ではない。
でも。
それでいい。
あるの夕方、私は戸棚の奥から古い茶筒を取りした。父が好きだった元のお茶で、実を理したに見つけ、こちらへ持ってきたものだった。
急須へ茶葉を入れ、しました湯を注ぐ。
淡いりが。
部へ。
広がる。
私は湯呑みを両で包み、窓際へ座った。
では夕がビルの向こうへ沈み始めていた。
学帰りの子どもの声。
自転のベル。
どこかのから。
夕を作る。
匂い。
何でもない。
普通の。
夕暮れ。
私は。
その普通が。
好きだった。
「が狭いから、あなたは留守番ね」
あの朝の子の声を、々いす。
あの。
私は。
置いていかれた。
そう。
っていた。
でも。
今振り返れば。
違う。
あの。
が。
私を。
置いていった。
のではない。
私が。
を。
見送った。
15。
抱えてきた。
夫。
義母。
族という名の。
荷。
最まで。
笑顔で。
見送った。
そして。
3。
私は。
自分の荷物を。
持って。
自分のへ。
戻った。
あの翌夜。
47件の着信が。
届いた。
昔の私なら。
慌てて。
話した。
謝った。
へ。
戻った。
かもしれない。
でも。
私は。
スマートフォンを。
伏せた。
そのさな作が。
15で。
初めて。
ではなく。
自分を。
選んだ瞬だった。
今でも。
誰かから。
「族なんだから」
という言葉を聞くと。
しだけ。
ち止まる。
族だから。
助けることはある。
族だから。
するも。
ある。
でも。
だけが。
ずっと。
犠牲になり。
だけが。
ずっと。
譲り。
だけが。
ずっと。
傷ついているなら。
それは。
族ではない。
私はようやく、それをった。
窓のに番が見え始めた。
私は温かいお茶をみ、ベランダのさな盆栽へ目を向けた。
は曜。
し遅く起きて。
盆栽へ。
をやる。
それから。
図館で。
借りた本を。
読む。
昼には。
駅の。
さなパンへ。
こう。
誰にも。
許を。
取らない。
誰にも。
予定を。
わせない。
誰にも。
「留守番して」
とは。
言われない。
私は湯呑みを置き、静かな部を見渡した。
父が残したは。
もうない。
けれど。
父が。
最まで。
守ろうとしたもの。
私の。
。
それだけは。
ようやく。
私のに。
戻っていた。
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