"車が狭いからと言われた妻" 第4話
鳴れば、証拠を隠される。
泣けば、また「由美はだから」と片付けられる。
だったら何もらない妻を続けながら、必なものを集めればいい。
転は、が親戚の法事へかけただった。
浩司が普段鍵をかけている斎の机。掃除をするなと言われていたが、こののを管理してきた私は、予備鍵が本棚の裏にテープで留められていることをっていた。
番の引きしをけると、見慣れないの通帳、宅会社の資料、そして旅会社の封筒がてきた。
私は封筒をけた。
に入っていた予約確認を見て、しばらく呼吸をすることさえ忘れた。
私が予約したのと同じ温泉旅館。
同じ程。
だが宿泊者は3名になっていた。
条浩司。
条子。
そして。
由。
予約プランの備考欄には、「マタニティ対応」「抱き枕貸希望」とかれていた。
私が子の誕祝いとして費用を用した旅は、裏で別の予約へ変更されていた。私は「が狭いから」という理由でされ、その席には浩司のが乗ることになっていたのだ。
私は予約確認をスマートフォンで撮し、通帳や宅会社の資料も枚ずつ記録した。それだけなら、まだ倫と図々しい将来計画の証拠にすぎなかった。
しかし、引きしのさらに奥から見つけたクリアファイルをいた、事態はまったく別のを持った。
広告
そこにあったのは、私が所していると建物の名義を浩司へ移すための類だった。
贈与を提にしたような式で、私の所、氏名、まで正確に記入されている。しかも署名欄には「条由美」という私の名が、私自の跡に似せてかれていた。
最初の枚だけではなかった。
きらしいには、「条由美」という文字が何度も練習されていた。
枚目。
枚目。
枚目。
くたびに。
しずつ。
私の字に。
づいている。
私は子へ座り、しばらくそのを見つめた。
婚したい。
と暮らしたい。
それだけなら、まだ分かる。
けれど浩司は、私から父のまで奪うつもりだった。
そして子も、それをっている能性がい。
類はまだ完成していなかった。
印鑑証もなければ、私が父から譲り受けた実印もない。
そこで私はいした。
その実印は結婚、子が「若いには事なものの管理は難しい」と言って半ば引に預かり、そのまま返してもらっていなかった。
の権利や類は私が別の所へ移していたので被害はなかったが、実印だけはずっと子の部にあるはずだった。
私はクリアファイルの内容をすべて撮し、元の順番へ戻した。
それから法事から戻るまでのを計算し、子のへ入った。
広告
部には古いと線が混ざったような匂いが染みついていた。
箪笥の引きしをつずつ確認し、着物、古いアルバム、タオル箱の奥を探す。最に番の引きしの奥から、見覚えのある桐箱がてきた。
蓋をけると。
父が。
私の成祝いに。
作ってくれた。
実印。
20くの印鑑だった。
私は両で持ちげ、指先で自分の名をなぞった。
もう度と。
このたちに。
渡さない。
私は実印を自分の鞄へしまった。
そのでへ向かい、私個名義の預をしくいた座へ移した。共同活費用として使っていた座には当面必な額だけを残し、私が父から相続したとパート収入から積みてていた預はすべて分した。
次に相談したのが、父の古い友で元の産会社を経営している佐藤隆さんだった。
佐藤さんは父と同じ職仲のにまれ、私が子どもの頃からっているだった。父の葬儀でも続きを伝ってくれたので、私が信頼できる数ない者でもあった。
私は登記類、実印、審な名義変更類の写真、倫を示す資料を机へ並べた。
佐藤さんは、話を聞くうちに何度も眉をひそめた。
「由美ちゃん。本当にを売るのかい?」
「はい」
「お父さんが、あれだけ事に建てただよ」
私は頷いた。
「だからです」
佐藤さんは私の顔を見た。
「父は、私がこので毎たい噌汁をむために残したんじゃありません。
広告
おすすめ作品
-
完結第15話
消えた実印
嫁が実印を隠した本当の理由。 姑が泥棒だと思った相手は、家を守るために動いていた。 70歳の誕生日を前に、仏壇から消えた大切な実印。 前日に家へ来ていたのは、長男の嫁・香織だけだった。 家の売却を調べていた嫁。 勝手に印鑑を持ち出した嫁。 文江は、すべてを裏切りだと思っていた。 しかし、弁護士から届いた一通の書類によって、隠されていた真実が明らかになる。 母の家を売ろうとしていた本当の人物は誰なのか。 そして、嫁が命をかけて守ろうとしていたものとは――。嫁姑|親不孝2.3萬字5 2 -
完結第11話
追放母の25億売却
お盆のため、長崎から東京の息子夫婦のペントハウスを訪れた田中春江。 亡き夫に手を合わせ、息子の好物を詰めた重箱を抱え、半日かけて上京した彼女を待っていたのは、温かな家族の食卓ではなかった。 嫁・里奈は春江の手料理を目の前で捨て、安いホテルの予約票を差し出す。さらに息子夫婦は、自分たちが旅行へ行く間、愛犬の世話だけを春江に押しつけようとしていた。 長年、息子のために働き続け、すべてを与えてきた母。だがその日、春江はようやく気づく。 自分は家族として呼ばれたのではない。ただ都合よく使われるために呼ばれただけだった。 その夜、春江は20年以上連絡を取っていなかった“ある人物”に電話をかける。 翌日、息子夫婦が暮らしていた天空の城は、静かに動き始めた――。人生逆転|親不孝|親子関係1.6萬字5 6 -
完結第13話
帰る場所を奪われた妻、4階で取り戻した人生
「あんたの帰る場所は、もうここにはないから」 母の入院で家を空けた3日間。 帰宅した佐藤ゆみを待っていたのは、変えられたオートロックの暗証番号と、夫と義母からの追放宣言だった。 しかし、2人は知らなかった。 ゆみがすでに夫の裏切りと、マンション売却計画の証拠を掴んでいたことを。 そして彼女が向かった先は―― 夫と義母が暮らす部屋の、真上の4階だった。 夫の新しい女。 隠された財産。 偽造された書類。 すべてを奪おうとした家族の嘘が、少しずつ崩れ始める。 帰る場所を失った妻が、最後に手に入れたものとは。親不孝1.9萬字5 0 -
完結第12話
タダ宿の代償
64歳の佐々木敦子のもとに、久しぶりに長男・大輔から電話がかかってきた。 連休に家族で帰ってくるという話に、最初は孫に会える喜びを感じた敦子。だが大輔は、当然のようにこう言った。 「母さんの家に泊まるから。ホテル代もかからないし」 しかも泊まりに来るのは、息子一家だけではなかった。嫁の両親、妹夫婦、友人夫婦まで含めた総勢10人。食事、布団、タオル、駐車場、留守番まで、敦子の家はいつの間にか“無料の宿”として扱われていた。 それでも家族のためならと我慢しかけた敦子だったが、旅行の三日前、切れていなかった電話の向こうから、息子夫婦の本音を聞いてしまう。 「母さんの家使えばタダじゃん」 「お母さんってちょろいよね」 その瞬間、敦子の中で何かが静かに切れた。 この家は、3500万円を出して自分が買った家。誰かが当然のように使っていい場所ではない。 翌日、敦子は弁護士へ相談し、玄関の鍵を替える。 そして連休当日。何も知らずに10人で家の前へやって来た息子夫婦を待っていたのは、もう開かない玄関だった――。親不孝|親子関係1.9萬字5 5 -
完結第10話
形見を捨てた嫁の代償
妻の三回忌の日、68歳の竹内正男は、久しぶりに帰ってくる息子一家のため、亡き妻がよく作っていた煮物と甘い卵焼きを用意していた。 孫に妻の思い出を伝えようと、正男は40年間大切に使われてきた花柄のエプロンを見せる。それは妻が家族のために台所に立ち続けた証であり、正男にとって何より大切な形見だった。 しかし嫁の彩花は、そのエプロンを何のためらいもなくゴミ袋へ放り込む。 「古いものは整理した方がいいですよ」 その一言で、正男の中の何かが静かに崩れた。 ところがその後、彩花は仏壇の横に置かれた一通の封筒を見つける。そこに書かれていたのは、マンション2棟と預金3000万円、そして遺言書という文字。 次の瞬間、さっきまでゴミ扱いしていた形見を、嫁は突然「大切にします」と言い出した。 形見の本当の価値は、金で測れるものなのか。 亡き妻が残したエプロンをめぐり、家族の本音が静かに暴かれていく。親不孝|親子関係1.5萬字5 5 -
完結第12話
母の認知症は芝居だった
30歳の大倉明かりは、仕事に追われる日々の中、田舎で暮らす母の変化に気づき始めていた。 電話の向こうの母は、以前より言葉が噛み合わず、声にも力がない。兄夫婦からは「認知症が進んでいる」「もう家では見きれない」と告げられ、明かりは母を介護施設へ入れる話し合いに同意する。 久しぶりに会った母は、明かりの顔を見ても娘だと分からず、亡くなった妹の名前で呼んだ。 やはり認知症なのか――。 そう思いながら家族で施設見学へ向かった明かりだったが、途中で施設長に呼び止められる。 「娘様だけ、こちらへ来てください」 別室にいた母は、先ほどまでとは別人のようにはっきりと明かりの名前を呼んだ。そして職員は、母の体に残された不自然な痕を見つけていた。 「今すぐ警察に行ってください」 認知症だと思われていた母は、本当に何を隠していたのか。 父の仏壇に残された古いボイスレコーダーが、家族の中で起きていた恐ろしい真実を暴き出す――。親不孝|介護1.8萬字5 1503 -
完結第10話
形見を捨てた嫁の代償
妻の三回忌の日、68歳の竹内正男は、久しぶりに帰ってくる息子一家のため、亡き妻がよく作っていた煮物と甘い卵焼きを用意していた。 孫に妻の思い出を伝えようと、正男は40年間大切に使われてきた花柄のエプロンを見せる。それは妻が家族のために台所に立ち続けた証であり、正男にとって何より大切な形見だった。 しかし嫁の彩花は、そのエプロンを何のためらいもなくゴミ袋へ放り込む。 「古いものは整理した方がいいですよ」 その一言で、正男の中の何かが静かに崩れた。 ところがその後、彩花は仏壇の横に置かれた一通の封筒を見つける。そこに書かれていたのは、マンション2棟と預金3000万円、そして遺言書という文字。 次の瞬間、さっきまでゴミ扱いしていた形見を、嫁は突然「大切にします」と言い出した。 形見の本当の価値は、金で測れるものなのか。 亡き妻が残したエプロンをめぐり、家族の本音が静かに暴かれていく。親不孝|親子関係1.5萬字5 3620 -
完結第12話
タダ宿の代償
64歳の佐々木敦子のもとに、久しぶりに長男・大輔から電話がかかってきた。 連休に家族で帰ってくるという話に、最初は孫に会える喜びを感じた敦子。だが大輔は、当然のようにこう言った。 「母さんの家に泊まるから。ホテル代もかからないし」 しかも泊まりに来るのは、息子一家だけではなかった。嫁の両親、妹夫婦、友人夫婦まで含めた総勢10人。食事、布団、タオル、駐車場、留守番まで、敦子の家はいつの間にか“無料の宿”として扱われていた。 それでも家族のためならと我慢しかけた敦子だったが、旅行の三日前、切れていなかった電話の向こうから、息子夫婦の本音を聞いてしまう。 「母さんの家使えばタダじゃん」 「お母さんってちょろいよね」 その瞬間、敦子の中で何かが静かに切れた。 この家は、3500万円を出して自分が買った家。誰かが当然のように使っていい場所ではない。 翌日、敦子は弁護士へ相談し、玄関の鍵を替える。 そして連休当日。何も知らずに10人で家の前へやって来た息子夫婦を待っていたのは、もう開かない玄関だった――。親不孝|親子関係1.9萬字5 7762 -
完結第11話
追放母の25億売却
お盆のため、長崎から東京の息子夫婦のペントハウスを訪れた田中春江。 亡き夫に手を合わせ、息子の好物を詰めた重箱を抱え、半日かけて上京した彼女を待っていたのは、温かな家族の食卓ではなかった。 嫁・里奈は春江の手料理を目の前で捨て、安いホテルの予約票を差し出す。さらに息子夫婦は、自分たちが旅行へ行く間、愛犬の世話だけを春江に押しつけようとしていた。 長年、息子のために働き続け、すべてを与えてきた母。だがその日、春江はようやく気づく。 自分は家族として呼ばれたのではない。ただ都合よく使われるために呼ばれただけだった。 その夜、春江は20年以上連絡を取っていなかった“ある人物”に電話をかける。 翌日、息子夫婦が暮らしていた天空の城は、静かに動き始めた――。人生逆転|親不孝|親子関係1.6萬字5 4331 -
完結第9話
食卓追放の1億3000万
「お母さんは、ここでは食事しないでくれる?」 67歳の佐々木洋子は、息子一家との夕食の席で、突然そう告げられた。 その料理を作ったのは、30年間ホテルの厨房に立ち続けた元料理長の洋子本人。家族のために腕を振るったはずの食卓で、彼女だけが別室へ追いやられる。 嫁は台所から洋子を遠ざけ、息子は妻の味方をし、夫までも見て見ぬふりをする。小さな違和感は、いつしか明確な排除へと変わっていった。 その夜、客間で眠れずにいた洋子は、リビングから聞こえてきた家族の本音を耳にしてしまう。 「洋子はもう用済みなんだから」 さらに彼らは、洋子を施設へ入れ、実家の土地まで売ろうとしていた。 けれど彼らは知らなかった。洋子が守り続けてきた資産の本当の名義も、彼女がまだ失っていない“料理人としての誇り”も。 食卓から外された母が、静かに取り戻したものとは――。親不孝|絶縁|親子関係1.3萬字5 3195